今昔きもの美に 触れて・・・眺めて・・・着こなして・・・
あなた色のコンテンポラリーな着物ライフはじめてみませんか
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シルバーウィークも過ぎると、本格的な秋ですね!
食欲の秋、芸術の秋、・・・の秋
今日は10月4日に演じます、「鷺娘」のことを
写真はある会での「鷺娘」の出の部分・・・今度もこんな感じで登場かと
よく、歌舞伎や日本舞踊は歌詞がわからない、というお声をいただきます
歌詞の内容がわかれば、舞台の楽しみ方もまた違ってくるかと
掛詞などが豊富で、日本人の感性が現れている事にも気づかされます
以下、少々長いですが、秋の夜長にお付き合いくださればうれしいです
【長唄 鷺娘】
妄執(もうしゅう)の雲晴れやらぬ
※妄執の雲=「妄執」は迷いの執念でそれを雲として表現。
「妄執の雲霧」などの表現はよく使われています。
朧夜(おぼろよ)の恋に迷いしわが心
吹けども傘に雪もって 積もる思ひは泡雪の 消えてはかなき恋路とや
思ひ重なる胸の闇せめてあはれと夕暮に ちらちら雪にぬれ鷺の
※思ひ重なる胸の闇=儚(はかな)い恋の想いが重なり、心は真っ暗な闇で
あるという意味。
しょんぼりと可愛らし 迷ふ心の細流れ ちょろちょろ水の一筋に
※細流れ=細い流れを、「心細い」にかけています
濡れて雫と消ゆるもの
※濡れて雫と消ゆるもの=水に濡れても、歩く度に、つま先から雫となって
消えていくという意味。哀れむ事を言っています。
われは涙に乾く間も袖干しあへぬ月影に しのぶその夜の話を捨てて
※袖干しあへぬ月影に=絶えず涙で濡れている、その袖を乾かしきれない
月の光ですが、その月の光で忍んで行くその夜、と続きます。
縁を結ぶの神さんに 取り上げられし嬉しさも
※縁を結ぶの神さん=男女の縁を結ぶ神、即ち出雲の神を指しています。
出雲の神とは、出雲大社の主神「大国主命」のことです。
餘る色香の恥ずかしや
※餘(あま)る色香=「餘る」とは、分不相応という意味で、嬉しさも餘る
色香とは、「身に過ぎ た或いは身にあまる情け」ということです。
須磨の浦辺で汐汲(しおく)むよりも君の心は汲みにくい
※須磨の浦辺...汲みにくい=「松風村雨」のことを借りています。
さりとは実に誠と思はんせ 繻子(しゅす)の袴(はかま)の
※繻子(しゅす)の袴(はかま)...取りにくい=前述の「須磨の浦辺…」
と共に当時流行した歌謡「山家鳥虫歌」の「繻子の袴の襞とるよりも
さま(相手の男性)の機嫌のとりにくさ」を借りています。
襞(ひだ)とるよりも 主(ぬし)の心が取りにくいさりとは
実に誠と思はんせ しやほんにえ
※しやほんにえ=「しや」は感動的に出す言葉で「ほんにえ」は本当ですよ
というような意味。
恋に心もうつろひし花の吹雪の散りかかり払ふも惜しき袖傘や
※払ふも惜しき袖笠=花の吹雪を「払ふも惜しき袖笠」ということで、
「袖笠」とは笠の代わりに袖をかざすことです。
傘をや傘をさすならばてんてんてん日照傘(ひでりがさ)
※日照傘=日傘のことです。
それえそれえさしかけて いざさらば 花見にごんせ吉野山
※ごんせ=ござれ。行きなさい又は来なさいの意味。
それえそれえ匂ひ桜の花笠(はんながさ)
縁と月日の廻りくるくる車がさ
それそれそれさうぢゃえそれが浮名の端となる
添ふも添はれず剰(あまつさ)へ
※剰(あまつさ)へ=そればかりか、その上に。
邪慳(じゃけん)の刃(やいば)に
※邪慳(じゃけん)の刃(やいば)に先立ちて=「邪慳の刃」とは、無慈悲な
心が鋭く人を害するところから、それを刃に例えていった言葉で「先立ちて」
その邪慳の刃を受ける前に、ということです。
先立ちてこの世からさへ剣(つるぎ)の山
※剣の山=剣を植えてある山で、地獄にあるとされています。
「邪慳の刃」に関連して持ってきた言葉。
一じゅの内に恐ろしや
※一じゅの内に=一じゅとは一呪であり「呪い」のことと思われます。
地獄の有様ことごとく 罪を糺(ただ)して
※糺して=調べて、或いは詮議(せんぎ)して、の意味。
閻王の鉄杖(てつじょう)まさにありありと
※閻王=閻魔大王のこと。地獄に住み、将官十八人と獄卒八万人を部下に
していて、死んで地獄へ落ちた人間の整然の罪を調べて懲罰する冥府
(冥途・冥界とも言われる、死者の行く暗黒の世界)の王とされています。
※鉄杖=地獄の獄卒(=鬼)が持つ鉄の棒。
※まさに、ありありと=「まさに」とは、確かに或いはまさしく、の意味。
「ありありと」とは、はっきりとの意味で、「等活…」以下の地獄の様子
を確かにはっきりと見た、ということを言っています。
等活畜生(とうかつちくしょう)
※等括=八熱地獄(八大地獄・八大奈落)の一つで、鬼の鋭い爪や牙で身体
を引き裂かれ、息が絶えると骨を粉砕される。後、涼しい風が吹いて来て
もとの身体になるが、また引き裂かれ、幾度となくこれが繰り返されると
いう地獄。等活・黒縄(こくじょう)・衆合・叫喚・大叫喚・焦熱・大焦
熱・無間の種類があるとされています。
※畜生=三悪趣・六道のひとつである畜生道のことです。三悪趣とは、三悪
道とも言われ、生前の悪行によって行く、餓鬼道・畜生道・地獄道の三種
の迷界です。六道とは、善悪の業因によって誰でも行かねばならない、地
獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六種の迷界です。
衆生地獄(しゅじょうじごく)
※衆生地獄=謡曲「求塚」の中では、乙女の霊が八熱地獄の責めに苦しむ様
を「…まづ 等活 黒縄 衆合 叫喚 大叫喚…」と書かれていて、
これは八大地獄を引用しているのですが、「畜生 衆生地獄」というのは、
八大地獄の中での「黒縄 衆合地獄」の誤りではないかと思われています。
黒縄地獄とは、真っ赤に焼けた鉄の縄で縛られ火のようになった熱い鉄の斧
で斬られる地獄であり、又、衆合地獄とは、石割地獄とも言い、向かい合う
鉄の山の間に罪を犯した亡者の群れが入るとその鉄の山が崩れ落ちて群集を
圧殺してしまうという地獄のことです。
或は叫喚(きょうかん) 大叫喚
※叫喚、大叫喚=罪業の深い者が苦しめられる地獄です。熱湯を浴びせられたり、
猛火で焼かれたりして、その呵責に堪えかねて泣き喚くところから叫喚地獄と
称され、中でも五戒(殺生・偸盗(ちゅうとう)・邪淫(じゃいん)・妄語
(もうご)・飲酒の五つの戒め)を破った者が堕ちる最も苦痛の激しい地獄
が大叫喚です。
修羅の太鼓は隙(ひま)もなく
※修羅の太鼓=修羅とは、常に闘争の絶え間の無いところで、そこで打ち鳴ら
す太鼓のことです。
獄卒四方(ごくそつよも)に群(むら)がりて 鉄杖(てつじょう)振り上げ
鉄(くろがね)の 牙噛み鳴らしぼったてぼったて
※ぼったてぼったて=追い立て、追い立て。
二六時中(にろくじちゅう)がその間
※二六時中=一日中、終日のこと。昔の時の計算は、朝の六つと夜の六つで
あり、一日は朝と夜の二つの六つの時間ですので二六時中となります。
現在は、六時間が昼夜で四つあるので四六時中ということになります。
くるりくるり 追ひ廻(めぐ)り追い廻り
遂にこの身は ひしひしひし
※ひしひしひし=骨が砕けるまで責め苛まれること。
恨みたまへわが憂身(うきみ)語るも涙なりけらし #姿は消えて失せにけり
※語るも涙なりけらし=「話すのも涙であったようだ」と過去の推量になって
います。
参考文献:「日本舞踊全集・第2巻 演目解説」
さて如何でしたか? 女性の方は自分の中の【鷺娘】に出会えましたか?
男性の方は【鷺娘】の想いに触れられましたか?
今も昔も“人の心は汲みにくい”もの。だからこそ見えない絆、目の前にある
優しさを大切にしたいものです。
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Tさんの家の近くにお住まいのSさん、初めての単衣姿が様になっていますね!
長い間、銀行にお勤めでしたが、昨年退職されてご自分の趣味を色々と模索中?
ご縁があり、Tのクラスにご一緒することとなりました
着付けを始めるにあたり、実家から色々いただいてきたようで・・・
こちらは単衣の小千谷紬
とても軽くて糸質の良いお品
帯は生成りの八寸にすっきりした柄付け
肩肘張らない、普段っぽい雰囲気に仕上がりました
初めて長じゅばんを着ての着付けでしたので、補正のアドバイスを一言
胸がふくよかな方は、どうしても胸元が開きやすいので、和装ブラをお勧めしました
バストトップを外れてしまうと襟が乱れやすいので、適度に抑える必要があります
舞台ですと、さらしをまいて・・・もありなのです
襟元から帯までのラインは、横から見たときにとても気になるもので、ここがすっきりしていると、まさに「きもの人」に見えるから不思議です
少し帯位置も低くして大人の着こなしを
皆さんそうですが、初めての自分の着物姿に素直に感嘆して、とてもうれしそう!
夕方の教室でしたので、このままの姿でお帰りになり、ご主人様をお迎えするとのことでした
その日に限ってなかなか帰ってこなくて、「もうだめだ」と、脱ごうとしたところへ・・・
ご主人様、とってもびっくりして、またとっても喜んでくれたとのこと
これからちょくちょくお着物で接するうちにご主人様もお着物に目覚めてくれると良いのですが・・・
ともかくも、これからの着付けの励みになったことには違いありませんね!!!
9月も半ばになると、本当に朝夕が肌寒く、「秋」を強く感じますね
と同時に結婚式の話題があちこちから
以前購入した方の黒留袖の納期の確認やら、草履、バッグに関する問い合わせ等々・・・
つい先日も、友人のご子息が10月に結婚式の予定で
黒留袖は持っているのだけれど、草履やバッグはないので購入したいと思うけれど、どういったものが良いか、とのこと
昔は結婚式といえば佐賀錦に決まっていたような気がしますが、今はちょっと様変わりして・・・
結婚式の形態も当然様変わりしているわけですし、地域性もあり、一概に言えないところが現代の難しいところ
それでも最低限礼装としての体を整えることは、「式」という晴れの場を演出する上でやはり重要なこと
今回はまだ今後親戚の結婚式がいくつかある可能性があり、レンタルより自前でということで相談を受けた次第
友人だし、バッグはあるものをお貸ししても良いとも思ったのですが、草履は人様と貸し借りはしないように、といつも言っている私
草履とバッグをセレクトする際、やはり黒留袖と帯も見せてもらってイメージをつかむことからはじめました
彼女の帯はお母様の形見の品で、まだちょっと地味なお品
黒留袖も40歳前に選んだ柄としては渋好みで・・・
そんな彼女の雰囲気に合わせて、今回五嶋紐のバッグと、帯地の草履をセッティングしてみました
帯がとても地味な地色(龍村晋作)でしたのでやはり金色を主にしたものにして、少し華やかな感じを
草履はやはり3段のものにしました
ご主人の背との釣り合いを少し心配していましたが、やはり黒留袖に低い草履ではちょっと・・・
確かに回数は数えるほどの使用かもしれませんが、だからこそちゃんとした物を揃えておけば安心して式に望めるというもの
おしゃれは足元から
バッグもまたおしゃれ度のバローメーター!?
備えあれば憂い無し
今年も秋、結婚シーズン到来です!!!
東海地方の朝夕はめっきり肌寒さを感じるようになりました!
が、昼間の気温は意外に上がるのが9月の常
こんな時期のお勧めは、なんといっても塩沢紬!
着付け教室では「またか・・・」といわれそうですが・・・
いつも思うのですが、単衣用のお着物として、汗をかいてもさらりとして、しかも皺になりにくい
強撚糸を使っている故ですが、お値段的にもなぜかそこそこで・・・
綿薩摩も片貝も、木綿のお手入れの容易なことで人気のあるのもわかるのですが、実際、どのシチュエーションでもサマになるお着物となると、私的には一押ししたくなってしまいます
あまりの着心地のよさに、稽古着にしていて、ついにはお尻の部分が薄くなって裂けてしまうほどに使った一枚が本塩沢
お着物のことをあまり知らない頃、呉服屋さんに勧められて作ったお品でしたが・・・
そしてそのお着物の柄は大して好きではなかったのですが、とにかく着ていて心地よかったから・・・
「結」マークの結城縮みももちろん着心地は大変よろしいのですが、お値段も当然よろしくて・・・
その点、塩沢紬はリーゾナブルで洗練された柄も多いのが特徴かと
新潟県、塩沢町は数年前の地震でずいぶん機やさんが被害に遭われたと聞きます
少し前の、こういう塩沢紬はそういう意味でも貴重かと
普段着物を着ている方ほど塩沢紬派は多いと感じます
寒暖の差のある9月、長い時間のお出かけに、一度お召しになってみてください
きっと、納得していだける事でしょう
ここ数年、創作帯が流行のよう
特にアジアの布を使って、その柄を活かしたデザインのものが目につく気がいたします
日本の従来の柄の織柄や染め柄とはちょっと異質なもの
それに加えて、堺更紗に代表される日本の綿更紗を使用した帯には希少性とあいまって驚くような高値がついています
時折京都などでは旧家から明治時代の状態の良い藍地型染めなどの布が見つかる様子
それを帯にしてアンティークショップなどで売っているのはご存知の方も多いことかと
何しろ100年以上前の木綿ですからほとんどが何かしら傷みのあるのが常なのですが、それが新品同様の状態で出てきた布で作られた帯は、木綿の帯とは思えないようなお値段がつくのが現代
でも、色あせや傷みのあるのも味のうち?
良い状態の布で手に入れたいのは山々ですが、これに予算のあるのも当然で・・・
で、もっぱら、工夫すれば帯になる布集めが楽しみの私???
写真の藍型染めの布も、とあるお店で見つけたのですが、中央部分にだいぶダメージがあり・・・
それゆえお値段もこの時代のものにしてはお安かったので、リバーシブルの京袋帯を作りたいと買っておいた布
今回着付け教室のお仲間と綿の風呂敷地を片面に使った創作帯を作ることになって・・・
その裏地にこの布を使用することにしたのでした
他のお一人はアンティークの布団側で
もうお一人は風呂敷地の他の柄で
表地は一緒ですが、裏地は三者三様の帯が出来上がりました!
帯は強度も必要ですから、どの布でもというわけにはいきませんが、工夫しながら、時間を掛けて探していると、意外にお安く、マイ帯をゲットできるもの
お気に入りの布があればいつでもご相談くださいませ
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